こんな夜更けにバナナかよ 勝手にレビュー
そもそもなんでこの映画を観たくなったのか。
それは脚本が橋本裕志さんだったからです。
橋本裕志さんを最初に知ったのは映画「ビリギャル」ですね。
YouTubeにアップされていたのを何氣なく観てたら、いつの間にか引き込まれてしまっ
て、氣がついたら3回泣いてました。その後今までで、5、6回観ました。
ええ、YouTubeで^^;
脚本の再録にもチャレンジしてみたりして。途中で止まったままですけど、ええ。
こんな脚本が書けたらええなあと思いましてね、ええ。
「ビリギャル」の良さはここでは書きませんけど、とにかく好きになりましてね。
「こんな夜更けにバナナかよ」という変なタイトルに惹かれてチェックしてみたら、脚
本が橋本裕志さんじゃないですか。
しかも実話が原作とあっちゃあ、同じく実話の「ビリギャル」をエンターテイメントに
練り上げたあの手腕がまたもや発揮されるのかと、いやが上にも期待は盛り上がるワケ
ですよ。
で、観てきました。
いや、素晴らしかった。
以下ネタバレになるので不要な方は飛ばしてください。
やっぱり一番グッときたのは、筋ジストロフィーの主人公、鹿野が介護ボランティアの
美咲ちゃんにプロポーズする場面です。
パーティー会場の中、全員が注目する中で、指輪を差し出す鹿野。
断られる可能性の方が圧倒的に高い状況の中で、それでも自分の本音、本性を正直に晒
け出す鹿野。恥も外聞も捨ててなどという言葉は、とっくの昔に通り過ぎて来てしまっ
ているのでしょう。オレは果たしてあんな風にできるだろうか?と省みてしまいます。
鹿野の生き方の真骨頂が表現されてる象徴的なシーンだと思います。
そしてそのシーンを盛り上げたのがひょっとしたら?と思わせる脚本の巧さです。
鹿野に心が傾いているであろう美咲の心情表現が巧に織り込まれています。
鹿野がひょっとしたらチャンスはあるかもしれないと思っても無理はないと思えるシー
ンも自然に描かれています。
そう、登場人物たちの心情の流れの表現が丁寧なんですね。無理がなく、嫌味がない。
鹿野に、それは受け取れないと断る美咲の言動も良いです。誠心誠意、真正面から来た
鹿野に対して、誠心誠意、真正面から、同じく自分を晒け出して応える美咲。
ウソのない、生きた人間のやりとりが、見ていて気持ち良かったです。
何を伝えて、何を省くか。
何を伝えたいのか。
それを分かりやすく伝えるための最適な構造はどんなものか。
それが練り上げられ、昇華されたものが観客に心地よく届けられています。
「ビリギャル」を観た時と同じ、爽やかな風が吹いていました。